第12話 あっさりと解決?

代理人が貸金業者と交渉を始めてから約2か月後、過払い金が返済されることが決まった。そしてその返済額も。

もっと修羅場があるのかな?と想像していただけに、「先方から金額の提示があったよ。」と代理人に言われたときには、こんなにあっさりとしているものなの?と思ってしまった。

もしかしたら、僕の知らないところで熱いバトルがあったのかもしれないけど、僕の生活に何の支障もなかったことがありがたかった。

そして、代理人の交渉が上手く行ったのか、満額とまではいかなかったが「50万円の返還」と、貸金業者は提案して来た。

返還額が代理人の予想を大きく違わなかったし、あまり揉めて時間がかかると「訴訟」になりかねないので、僕はその金額に納得することにした。

更に数か月後、僕の手元に50万円が返還された。そこから、代理人報酬を支払う。代理人報酬を支払っても、僕の手元には35万円残った。

このお金は僕が手にしちゃいけない

実家僕は、このお金に自分の預金を合わせて実家の母親の元に向かった。

「迷惑かけたね、お母さん」

そう言って僕は、そっと封筒を差し出した。

「なにこれ?」

不思議そうな顔で僕を見つめる。

「前に僕がしてしまった事で、お母さんには随分、迷惑をかけたよね。ずっと返したいと思っていたんだよ。」

母親にお金を出してもらって以来、顔を合わせるたびに申し訳ないと思い続けていた。

お金を出してもらった事実が変わることはないけれど、ほんの少し心が軽くなると思ったのだ。

「いらないよ。元々あれは、あなたのために使おうとしていたお金だから。」

そういうわけにはいかない。

今回の貸金業者との交渉は、母親のためにしたようなものだ。

僕はこれまでにないほど母親を強く説得し、渋々ながらお金を受け取ってもらった。

アヴァンス法務事務所

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