最終話 ありがとう

ごめん「ごめんね。」


僕は妻に返還されたお金を母親に返したことを話した。


「いいよ別に。」


その妻の一言に救われた。


妻も僕の借金返済に協力してくれた。


本来なら、妻に渡すべきお金だったのかもしれない。それなのに特に咎めもしない妻。本当に僕は幸せ者だ。


周りの人の協力なしでは生きては来れなかった。多くの人に助けられて今ここにいる。


そう、強く実感したのだった。

ありがとう、母さん

数日後、銀行へ通帳の記帳へ行き、僕は驚いた。記帳された通帳に、母親からお金が振り込まれていたのだ。


それも僕が母親に渡したお金がそっくりそのまま。


「何で!?」


驚いて母親に電話をした。


電話に出た母親はこういった。


「老後の貯蓄くらいちゃんとしているよ。私はお金の管理がしっかり出来るからね。そのお金は孫の学費に使いなさい。今度はあなたがしっかりお金の管理をするんだよ。あなたも父親でしょ。」


ちょっと嫌味を込めた、それでいて愛情のこもった言葉に胸を打たれた。


「ありがとう。」


「何言ってんの。親が子どもを助けるのは当然でしょ。」


もう駄目だ。


次々に涙がこぼれてきた。


この件で、僕はどれだけ涙を流しただろう。どれだけ周りに迷惑をかけてきただろう。何度、周りからの愛情の強さを感じただろう。


「ありがとう・・・」


かすれそうな声で感謝の言葉を絞り出し、静かに電話を切った。

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