元貸金業者従業員の話 お金を借りる側からお金を貸す側になりわかったこと

ここではお金を貸していた側の「貸金業者で働いていた経験のある方のお話」を掲載しています。

貸金業者で働いている間、多くの方がお金を借りていく姿を目にしたそうです。計画的に返済が出来る人もいれば、そうではない人もいたそうです。

なぜ貸金業者で働き始めたのか?会社の内情はどうだったのか?元貸金業者が勧める賢い借金生活とは?を紹介しています。

貸金業者で働き始めた 貸金業者経験者からの話

私は、若い頃にかなり多く借金をしていました。良くも悪くも『金を借りる』ということに興味があり、貸す側の人間になってみたいと思っていました。と言うこともあり、就職先を貸金業者にしようと決めました。

一番最初に働いたのは繁華街にあった貸金業者でした。その当時は、大手の部類に入っていたと思います。なぜ数ある貸金業者の中からそこを選んだかというと「お給料が良かったから」という理由でした。私自身も借金が多く、一人暮らしをしていたので、少しでもお給料の良い会社に入らないと生活がしんどかったからです。

私が、携わった仕事はATMの管理や、来店者への接客対応、事務雑務といったところでした。勤めていた期間も短かったので結局、表向きのお仕事だけでしたが、何年、十数年と勤めている人は本部(と言っていたように記憶しています)でまた別のお仕事をしている人もいました。

どうして辞めてしまったのか・・・と言うことですが、もう、かなり前の事ですので、理由は忘れてしまいましたが少しの期間ですが、色んな社会勉強をさせてもらいました。今から考えると、結構人間のいろんな部分が見えて面白かったという印象だけが今でも残っています。

お客さんはどのような人がいたのか?

私が働いていた貸金業者は、繁華街にあり少し行けば大きなビジネス街、反対の方向に行けば歓楽街、また、別の方向に行けば繁華街という立地にありました。ですので、飲食店に勤務されている人、
サラリーマン、自営業の人・・・本当に色んな業種の人が来られていたのを記憶しています。お店を経営している方もいらっしゃいましたね。

私が勤めていた頃は、まだ消費者金融はそんなに浸透していない頃でしたので、サラリーマンの人は比較的少なかったように記憶しています。飲食店に勤務されている人や自営業の人が多かったです。

こちらの会社ではありませんが、銀行のカードローンのコールセンターでアルバイトをしていた時には看護師さんや、生命保険会社の人・・・と女性が多かったです。この銀行は、地方銀行でかなり老舗のお店でした。また、別の会社でスポーツ新聞媒体でやっていた貸金業者では、ほぼ男性で、契約社員や自営業をしている人が多かったです。

このように、一括りに「サラ金」「ローン」と言っても、地域や場所、貸金業者、銀行という借入先が違えば、申し込みをする人もこれだけ違うのだと感じました。私がいた貸金業者は、立地柄ラウンジ経営されている女性がいたというのが特徴でした。

どのくらいの金額を借りていたのか?

このように様々な業種、性別の方がお金を借りに来ていたわけですが、借りる金額は人それぞれ異なっていました。と言うよりも「お金を借りる意識」が異なっていました。

「できるだけ多く借りたい」という人もいましたし、「私は○○万円(少額)でいいです」という人もいました。しかし実際の所、後者は少なかったですね。

比較的大手の貸金業者でしたが、超大手と言われるア〇ムやア〇フルという
ネームバリューのある会社ではありませんでしたので、信用情報の照会をすると、まっさらの人はほぼいませんでした。既に1~2件は借入している人がほとんどで、平均すると2~3件位の人が多かったです。

収入や職業によっても審査基準が変わってきますので借入金はいくらと言うのはありませんでしたが、大体既に10~50万円の借金を抱えている人がお金を借りに来ていました。

今のようにおまとめローン的なローンはなく借金返済の為にまた別のサラ金会社から借金をするという人が多く、10~30万円を数社から借りているという人が多かったのです。

私の勤めていた貸金業者の基準として、信用情報をチェックし既に5社以上の借り入れがあるとお断りすることもありましたし、そういうデッドラインの人はだいたい10万円位の融資でした。勤務先によっては、5万円という人もいました。反対に、しっかりとした会社の方等は30万円位の融資をしている場合もありました。

ですから、人によってお金を貸す額が異なっていたということになります。借り入れや勤務先等によって、様々と言う感じでした。しかし、一つ返済が遅れがちな人、一度かなり遅れたことのある人も融資額が減る要因の一つでした。

返済は出来ていたのか?

私がその会社で働いていたのは1年位でした。その間の仕事といえば、決められた時間にATMに行きメンテナンスをすることと、店頭に来られたお客さんの対応をすること、事務雑務の仕事でした。

店頭に来られるお客さんのほとんどが新規に借り入れを希望される方でした。今では、インターネット申し込みや無人ATMでの申し込み、郵送等様々な方法がありますが、その頃は、基本店頭に来店し申し込みをするという形でした。

中には、年配の方で「ATMの操作が分からない」と言う人は店頭で返済をされる人もいらっしゃいましたが、希でしたね。しかし、返済に店頭に来られる人の大半が全額返済をされる方でした。全額返済の場合、元金、その日までの利子を計算しその全額を返済し返済が終了するという感じでしたので、店頭に来られる人が多かったです。

私も借金をしていた経験があり、全額返済をしましたが、一番最後に全額返済をした時には遠方で店舗に行けず、サラ金会社の人は出来れば店頭で手続きして欲しいと言われましたが、どうしても無理でしたので、その日までの利子を計算し振り込みをする形をとりました。振り込みとなると、本当にその日までに振り込みをしないと利子の額が変わってくるため、あまりおススメされていないようでした。

そんな感じで、店頭に返済に来られる方の大半は全額返済をされる方がほとんどでした。これはあくまでも「店頭に返済に来られた人の場合」です。

貸金業者の内容について

貸金業者ってなんか怖いイメージを持っている方が多いと思います。そういった映画やドラマがありますからね。会社によって雰囲気は違うとは思うのですが、そして、もうかなり昔の話なので今とはまた違うかもしれないのですが、映画やドラマで想像する貸金業者のイメージを多少和らげた感じでした。

会社の雰囲気についてもう少し詳しく

私が勤めていた貸金業者は少しさびれたビルの2階にありました。繁華街のさびれたビルのためか、会社の雰囲気も少し暗い感じがしていました。今の貸金業者の多くは、明るく綺麗な所が多いと思いますが、そんな感じではありませんでした。

女性社員は表向きの事務仕事やATMの管理、雑務等をしていました。男性社員はどういった仕事をしていたのか詳しくは分かりませんでしたが、「ややこしい仕事」をしているという話でした。「借金」はナイーブであり、少し話しがこじれるとかなりややこしくなる事も多いものですので、そういった何かしらのトラブルがあった場合には、男性社員が担当するようになっていました。

ですから女性社員の印象としては、会社の看板と言うこともあり明るくニコニコしていましたが、男性社員はどちらかと言うと「陰」という感じでした。今思うと、ピリピリしていたんじゃないかなと思います。そして、どことなくドスのきいた雰囲気がありました。色んな修羅場潜り抜けてきたのかもしれません。

だから、普通の会社の雰囲気とはちょっと違うと思います。

返済できない人にはどのような取り立てを行ったのか?

私がサラ金会社で働いていた時の仕事の1つに、『督促の架電(電話)』の仕事がありました。つまり皆さんだいたい返済日は25日~月末までの間の人が多かったですが、その返済日が過ぎると、データとしてズラッと返済が遅れている人として出てきます。そのデータは、返済日、何日遅れているか、名前、住所、電話番号等が出てきます。そして、そのデータに基づき架電をするのです。

1日位でしたら、忙しいのでATMに行けなかったのかな?という感じで、積極的には架電はしません。電話をしても「今日今から行こうと思ってたんです」という感じの返事があります。

2~3日遅れの人に電話をすると、大抵「あ。忘れてた、すぐに入金します」という返事が返ってきます。4~5日、1週間、10日と、だいたいこれくらいの区切りになりますが、1週間位遅れた人も大体「忘れてた」という返事が返ってきます。

これが、10日以上になってくると、何らかの事情があったり、つながらなくなってきたりします。そんな中、1ヵ月延滞している人もいました。全然つながらなかったのに粘り強くかけていると、ふっと電話がつながったりすることがあります。

しかし、これは普通の督促の話です。だんだん、期間が長くなるとそのリストから名前がなくなります。そうなると、上の人が直接督促をするという事になります。それ以上は、私の具体的にどのような督促をしているのか分かりませんが、私たちは遅れている人のリストが情報として上がってくるので、それに基づき、片っぱしから架電するという感じでした。

その会社は存続しているのか?

今、大手のアイフルやアコム等でも銀行との提携をされたりしていますよね。アイフルさんは東証一部上場されていますし、アコムさんは三菱UFJフィナンシャルグループのようです。そういった、肩がきと言いますか「銀行との繋がり」があるとダークな部分が無いように感じます。銀行系の会社と提携等をしていたり、上場していると「しっかりした会社だ」「とりたて等も怖くないだろう」っていう印象ですよね。

私が勤めていた会社は名前が変わり、今は民事再生法の手続きをしてもう今ありません。
債権だけです。上記の超大手金融会社のように、銀行系の会社との提携等がなく時代の流れに乗り切れなかったという事でしょうか。

一時は、かなり沢山の貸金業者が乱立してました。ところが、今は金融規制が厳しくなり、取り立て等の規制も厳しく、貸金業だけやっていこうとするのは、なかなか難しい点も多いのでしょう。私が勤めていた頃には、全国展開をしていた位の規模の会社でしたが、金融関連の法律や時代の流れには乗れず、倒産してしまったという事です。

以前の金利よりも、金融規制が厳しくなってからの金利の方が格段に少なくなっています。私が借金生活を送っていた頃の遅延延滞金利は40%でしたから、そんな時代からすると今の延滞金利29%位だったら、それは、売上とされる金利が減り、経営も難しくなるのは目に見えて分かります。

一時は全国展開をしていたような比較的大手の貸金会社でも今はもうありません。規制が厳しくやりにくくなったという事でしょう。

元貸金業者がススメる賢い借金生活方法

元貸金業者の社員でありながら、私自身も借金ライフを長らく送っておりました。そんな私がおススメする正しい借金の方法とは、「色々な会社から借金をするのではなく、おまとめローンにすること」です。

おまとめローンがおススメな理由

数社から借金をしていると、実際、「どれだけ自分が借りているのか」また、「どれくらいで完済出来るのか」把握しにくいですよね?しかし、それを一本化することにより、どれくらいの額が残っていて毎月どれくらいの額を返していくとどれくらいの期間で返せるのか、
すぐに把握することが出来ます。

一番最悪なのは、「借金を返すお金が無くて、その返済金を他の消費者金融で借入してそのお金で返済をする・・・」と言うのが、一番悪いですね。負のスパイラルです。そうなると、だんだん借金が増えていきます。借入枠もそれだけ増えますので、負のスパイラルに入ってしまったらそれだけ、自由に使えるお金が増えたと勘違いしてしまうのです。おそらくしばらくすると、枠内一杯の借り入れになります。

返済する為だけにちょっと借りたはずがもう枠内イッパイイッパイですので、借金の額だけが増えると言うわけです。そういう、負のスパイラルに入る前に、入りそうになったら是非、一本化を検討してみてください。

過払い金返還請求について

私が借金生活を送っていたのはもう10年以上も前の話です。私が足を踏み入れた時には
延滞すると金利が40%位付いていたように記憶しています(記憶違いでしたらすみません)。大手の金融会社も街金業者もそんなやりたい放題出来た頃ですから、「過払い金返還請求」がここまで定着してくるとは思ってもいなかったのかもしれません。

名義貸しもしていましたから、結局全て完済し終えたのは今から5年前です。やっと、借金から足が洗えると内心ホッとしました。それが、最近になって過払い金返還請求が注目されるようになったのでどうしようか迷いました。私が借りていた頃は、今の比ではないくらい金利が高かったですから、かなり期待が高まりました。

でも、私自身で借金をしていた分は、もう完済してから10年近く経っていましたので、
諦めていたのです。対象は、名義貸し分です。人の名義で借金をしておいて、返済が遅れたりしていたので、かなり腹立たしい思いをしました。(名義を貸した私が悪いんですが・・・)

結論から言いますと、私は過払い金返還請求をしませんでした。もう借金の嫌な思い出を蒸し返したくなかったという理由です。正しく計算をしたわけではありませんが、相当な過払い金が発生していることだと思います。ですから、返還請求をしないのは愚かなことだと思われるかもしれません。

しかし、それ以上に、借金をしていた時の生活を思い出したくないのです。そして今の生活を大切にしていきたいのです。なので、客観的に考えれば、借金経験がある方は返還請求をした方が良いと思います。特に完済している方は、特にリスクがあるわけではありません。噂になったブラックリストに載るわけでもありません。ただ、完済していない方は少し考えたほうが良いかもしれません。借金は減ったり無くなったりするかもしれませんが、ブラックリストに載る可能性があります。(ブラックリストに載ったとしても一定の期間が過ぎれば載らなくなりますが)

後、私のように借金の思い出を蒸し返したくない人は、私と同じ選択をしても良いかもしれませんし、逆に返し過ぎた分は1円でも多く取り戻してやるといった気持で行動しても良いかもしれません。人それぞれと言うことでしょうね。

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